M&Aは実行プロセスやM&Aの実行そのものに注目が集まる傾向にあります。
しかしM&A後にどのようなシナジー効果が得られるのか、という部分こそ当事者にとって最大のポイントです。
M&Aの実行後に期待できるシナジー効果について解説するとともに、老人ホームのM&Aを行う際にシナジー効果を得るための注意点も解説いたします。
シナジー(Synergy)には“相乗効果”という意味があります。
M&Aにおけるシナジー効果とは、M&Aにより買い手企業(買収企業)と売り手企業(被買収企業)が共同で事業展開することで得られる相乗効果を指します。
M&Aにより、以下の様々なシナジー効果を得ることができます。
さらに解説していきましょう。
売上シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。
参考記事:
https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my06/my0618.html
生産シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。
投資シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。
経営シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。
財務シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。
M&Aには様々プロセスが存在しますが、最終的には買収企業と被買収企業のシナジー効果を得て事業拡大を果たすことが最大の目的です。
上記に列挙したように、M&Aにより様々なシナジー効果が得られる可能性があります。
M&Aを行う際は検討の段階から、M&Aの結果どのようなシナジー効果が得られるのか、という検討が必要です。
ただし物品の購買窓口の一本化といった簡単な部分もありますが、生産拠点の統合といった両者の利害が直接対立する部分もシナジー効果を得るためには避けては通れません。
M&Aの実行自体に満足するのではなく、M&A後にシナジー効果を得て初めてM&Aは成功する、という意識を持ち、どのようなシナジー効果をどのように得るのか、という議論が検討の段階から必要です。
続いては、老人ホームのM&Aでシナジー効果を獲得するための視点として、①同業種の場合、②他業種の場合の2者を取り上げます。
老人ホーム運営事業者が他の老人ホーム運営会社のM&Aを検討する際は、立地及び人員が重要です。
例えば関東の会社が関西の老人ホーム運営会社を買収しても、シナジー効果は低いといわざるを得ません。
一方で既存施設に隣接する地域の施設を有する事業者の買収なら、被買収企業が人員不足によりギリギリの状態で施設運営を行っている場合でも、買収後に自社スタッフを派遣し効率的な運営を行うことで、グループ全体の利益底上げを行うこともできます。
老人ホーム運営事業者が他業種の介護事業者を買収する場合、自社の既存事業に対しどのようなシナジー効果が得られるのか、という点が一層重視されます。
例えば、住宅型有料老人ホーム事業者が訪問介護事業者を買収することで、入居者向けに自社グループで介護サービスの提供が可能となります。
また福祉用品販売店の買収を行うことで、施設で利用する福祉用品の仕入れコストの削減のみならず、利用者に対し直接販売も可能となります。
ただし他業種のM&Aを行う場合は、自社の経験だけでは分からない業界独特の注意点もあるため、より綿密なデューデリジェンスも必要となります。
M&Aはそのプロセスや実行自体が注目される傾向にあるものの、当事者の本当の勝負はM&A後に始まります。
M&A後にシナジー効果を得て成功に至るケースは少ない、といわれることもM&A業界ではある程です。
M&Aを行う際は、対象企業の買収を行うことでどのようなシナジー効果が得られるのか、という点を十分に把握した上で検討を進める必要があります。
またシナジー効果と一言で表現できますが、様々なシナジー効果があり、また同業種そして他業種ではM&Aにより得られるシナジー効果も異なります。
老人ホームを運営する企業がM&Aを検討する際は、具体的にどのようなシナジー効果が得られるのか、という部分を徹底的に検討し、またシナジー効果の実現可能性も踏まえた上で検討を進めるべきといえるでしょう。
CBパートナーズでは、これまで老人ホームを含む介護施設のM&Aの実績が豊富にあります。
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