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シナジー効果の獲得とは?老人ホームのM&Aで知るべきこと

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シナジー効果の獲得とは?老人ホームのM&Aで知るべきこと

M&Aは実行プロセスやM&Aの実行そのものに注目が集まる傾向にあります。
しかしM&A後にどのようなシナジー効果が得られるのか、という部分こそ当事者にとって最大のポイントです。

M&Aの実行後に期待できるシナジー効果について解説するとともに、老人ホームのM&Aを行う際にシナジー効果を得るための注意点も解説いたします。

シナジー効果とは

M&Aの効果が発揮されているイメージ

シナジー(Synergy)には“相乗効果”という意味があります。

M&Aにおけるシナジー効果とは、M&Aにより買い手企業(買収企業)と売り手企業(被買収企業)が共同で事業展開することで得られる相乗効果を指します。

M&Aにより、以下の様々なシナジー効果を得ることができます。

  • 売上シナジー
  • 生産シナジー
  • 投資シナジー
  • 経営シナジー
  • 財務シナジー

さらに解説していきましょう。

売上シナジー

売上シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。

クロスセリング
買収企業と被買収企業がお互いの商品・サービスを双方の顧客に提供することで、商品・サービスのラインナップ拡充が可能となります。
アップセリング
商品ラインナップの拡充により、顧客に対しランクの高い製品・サービスの提供を行うことで、顧客単価の底上げを図ることができます。
販売チャネル
買収企業と被買収企業が双方の販路に両者の商品やサービスを乗せることで、売上の拡大を図ります。
ブランド効果
一定のブランド価値を有する企業を買収することで、買収企業は被買収企業の既存ユーザーやファンに対し、自社商品の販売機会が得ることができます。
ただしブランド価値を棄損させないため、丁寧な対応が必要となります。

参考記事:
https://www.jmrlsi.co.jp/knowledge/yougo/my06/my0618.html

生産シナジー

生産シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。

物流にかかるコストの削減
買収企業と被買収企業の物流を一本化することで、物流コストの削減が可能となります。
ドライバー不足が深刻化する中で物流コストが上昇しており、物流の統合によるコスト削減効果はM&Aによるシナジー効果の代表例となりうるものです。
生産拠点の統廃合
同業者間でのM&Aの場合、生産拠点の地理的及び製品上の重複が生じるケースがあります。
重複する生産拠点などを統廃合することで、効率的な生産体制の確立が可能となります。
営業拠点の統廃合
買収企業と被買収企業が別々に同じ地域に営業拠点を持つ場合、営業拠点の統廃合によりコスト削減が期待できます。
また営業拠点の統合を機に、クロスセリングやアップセリング等の売上シナジーの追及も可能となります。
交渉力の強化
買収企業と被買収企業が同じ物品を購買中の場合、購入窓口を一本化することでバイイングパワーを背景に仕入先に対し交渉力を発揮して、コスト削減につなげることができます。
M&Aにおけるシナジー効果の代表例といえます。

投資シナジー

投資シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。

技術力やノウハウの強化
M&Aを機に買収側と被買収企業の技術者や開発者が共同で研究開発を行うことで、技術力やノウハウの底上げが期待できます。
また両者の技術やサービスの掛け合わせにより、新しい事業展開が可能となる場合もあります。
研究や開発にかかる費用の強化
買収側と被買収側の研究開発体制を一本化することで、設備投資など重複コストの削減ができ、その削減分を研究開発費に充当することができます。
特に同業者間のM&Aの場合は重複部分が多くなるため、研究開発体制の一本化により研究開発費の大幅な捻出効果が得られる場合があります。

経営シナジー

経営シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。

経営の立て直しによる強化
被買収企業は経営的な問題を抱えているケースが少なからずあります。
買収企業の主導で被買収企業の経営的な問題を解消し経営を立て直すことができれば、被買収企業は新たな成長に向けたスタートを切ることができます。

財務シナジー

財務シナジーを得るためには、具体的に下記方法があげられます。

他人資本調達コストの削減
被買収企業は借入金過多のため金利負担が重く、事業展開に必要な資金が捻出できていないケースがあります。
買収企業が被買収企業の借入金肩代わりや第三者割当増資の引受による資金支援を行うことで、被買収企業は他人資本調達コストの削減が可能となります。
その結果それまで利払いに充当されていた資金を、研究開発などの前向きな投資に投じることができます。

シナジー効果を獲得することがM&Aの成功につながる

M&Aに成功した人

M&Aには様々プロセスが存在しますが、最終的には買収企業と被買収企業のシナジー効果を得て事業拡大を果たすことが最大の目的です。

上記に列挙したように、M&Aにより様々なシナジー効果が得られる可能性があります。

M&Aを行う際は検討の段階から、M&Aの結果どのようなシナジー効果が得られるのか、という検討が必要です。

ただし物品の購買窓口の一本化といった簡単な部分もありますが、生産拠点の統合といった両者の利害が直接対立する部分もシナジー効果を得るためには避けては通れません。

M&Aの実行自体に満足するのではなく、M&A後にシナジー効果を得て初めてM&Aは成功する、という意識を持ち、どのようなシナジー効果をどのように得るのか、という議論が検討の段階から必要です。

老人ホームのM&Aでシナジー効果を獲得するには

続いては、老人ホームのM&Aでシナジー効果を獲得するための視点として、①同業種の場合、②他業種の場合の2者を取り上げます。

①同業種の場合

老人ホーム運営事業者が他の老人ホーム運営会社のM&Aを検討する際は、立地及び人員が重要です。

例えば関東の会社が関西の老人ホーム運営会社を買収しても、シナジー効果は低いといわざるを得ません。

一方で既存施設に隣接する地域の施設を有する事業者の買収なら、被買収企業が人員不足によりギリギリの状態で施設運営を行っている場合でも、買収後に自社スタッフを派遣し効率的な運営を行うことで、グループ全体の利益底上げを行うこともできます。

②他業種の場合

老人ホーム運営事業者が他業種の介護事業者を買収する場合、自社の既存事業に対しどのようなシナジー効果が得られるのか、という点が一層重視されます。

例えば、住宅型有料老人ホーム事業者が訪問介護事業者を買収することで、入居者向けに自社グループで介護サービスの提供が可能となります。

また福祉用品販売店の買収を行うことで、施設で利用する福祉用品の仕入れコストの削減のみならず、利用者に対し直接販売も可能となります。

ただし他業種のM&Aを行う場合は、自社の経験だけでは分からない業界独特の注意点もあるため、より綿密なデューデリジェンスも必要となります。

まとめ

M&Aはそのプロセスや実行自体が注目される傾向にあるものの、当事者の本当の勝負はM&A後に始まります。
M&A後にシナジー効果を得て成功に至るケースは少ない、といわれることもM&A業界ではある程です。

M&Aを行う際は、対象企業の買収を行うことでどのようなシナジー効果が得られるのか、という点を十分に把握した上で検討を進める必要があります。

またシナジー効果と一言で表現できますが、様々なシナジー効果があり、また同業種そして他業種ではM&Aにより得られるシナジー効果も異なります。

老人ホームを運営する企業がM&Aを検討する際は、具体的にどのようなシナジー効果が得られるのか、という部分を徹底的に検討し、またシナジー効果の実現可能性も踏まえた上で検討を進めるべきといえるでしょう。

CBパートナーズでは、これまで老人ホームを含む介護施設のM&Aの実績が豊富にあります。
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