団塊の世代の後期高齢者入りを目前に控え、訪問介護市場の更なる拡大が予想されています。
中小事業者の多い訪問介護市場は、市場拡大に加え業者間の優勢劣敗が進む可能性も指摘されています。
今後活発なM&Aが予想される訪問介護業界について、訪問介護の利用の流れなど基礎的な内容を解説いたします。
訪問介護は訪問介護職員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、日常生活の様々な支援を行うサービスです。
訪問介護では、訪問介護職員(ホームヘルパー)が利用者宅を訪問してサービスを行います。ホームヘルパーは介護職員初任者研修課程を受講し、修了証明書の交付を受ける必要があります。
介護職員初任者研修は、過去に長く存在したホームヘルパー2級(2013年に廃止)に相当する資格です。
130時間の基礎知識・倫理・実務を学び、試験に合格することで資格を取得できます。
訪問介護には「身体介護」と「生活援助」の2つの区分が存在し、それぞれサービス内容が異なります。
それぞれを見ていきましょう。
身体介護は利用者の肌に直接触れる介護となります。
具体的には排泄介助、食事介助、入浴介助、衣類の脱着、通院・外出介助、自立支援のための見守り援助(利用者と一緒に手助けしながら行う支援、厚生労働省による「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(老計第10号)において規定)などのサービスが該当します。
生活援助は日常の家事全般を指します。
具体的には掃除、洗濯、買い物、調理、薬の受取などのサービスが該当します。
訪問介護を利用する際は、下記のプロセスを経ることになります。
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
介護保険サービスを利用するためには、居住する市区町村の窓口で要介護認定の申請を行う必要があります。
申請後は自治体の担当者の聞き取り調査(認定調査)と主治医意見書を基に、コンピューターによる要介護度の判定が行われます(一次判定)。
次に二次判定として、一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会が審査を行い、要介護度を判定します。
自治体は介護認定審査会の判定結果に基づき要介護認定を行い、申請から30日以内に結果を通知します。
尚、認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階及び非該当に分かれています。
介護保険の認定が下りた後、自治体の窓口(介護保険課)や地域包括支援センターで、居宅介護事業者リストや「ハートページ」(冊子)から、ケアマネージャーを探す必要があります。
ケアマネージャーとは介護保険制度上「介護支援専門員」と呼ばれており、介護サービスの利用計画書である「ケアプラン」作成など、自治体と介護事業者との調整を行い、利用者の介護サービスをマネジメントします。介護サービスを受ける上で、必要不可欠な存在です。
ケアプランとは居宅サービス計画書、介護サービス計画書とも呼ばれ、介護の目的・内容・方法・回数・時間などをまとめたものです。
介護サービスはケアプランをもとに提供されます。
尚、被介護者の身体状況の変化があれば作り直すこともできます。
ケアプランは民間事業者である居宅介護支援事業所に所属する、ケアマネージャーが作成します。
ケアマネージャーは利用者の自宅を訪問した上で状態を把握して、必要な介護サービスなどをまとめケアプラン原案を作成します。
ただしケアマネージャーは提案する立場であり、決定権はありません。
最終的には利用者本人及び家族が、サービス利用の決定権限を有します。
ケアプラン及び利用サービスが決まった後、ケアマネージャーはサービスの提供事業者や費用について説明を行います。
事業者の決定権限もケアプランと同様、利用者や家族が有しています。
そして最終的に介護サービス事業者との契約を行った後、ケアプランに沿った介護サービスが提供されます。
利用する訪問介護サービスを選ぶポイントとしては下記があげられます。
介護サービスを受けている最中に体調の急変が生じるなど、不測の事態に備え訪問介護事業者が提携する病院の確認が必要です。
近隣の大規模病院と提携する事業者であれば、重篤な変化があった場合でもスムーズに病院に受け入れられる可能性は高いといえます。
ただし大病院との提携であっても、遠方の場合もあるため、提携先病院との距離にも注意が必要です。
訪問介護サービスを受けるのが平日の日中のみであれば、訪問介護事業者の営業日や営業時間を気にする必要はそれ程ありません。
しかし様々な事情から、土曜及び日曜、また早朝や深夜にサービスを希望するケースもあります。
そのような場合は、事業者の営業日や営業時間の確認が必要です。
深夜・早朝などの営業時間外の対応も柔軟に行う事業者は多いものの、利用スタイルに合わせて事業者の営業時間の確認が必要となります。
介護福祉業界は慢性的な人手不足の状態にあります。
実際のサービスを提供する介護福祉士も例外ではありません。
介護福祉士等の所属が少ない事業者の場合、希望の時間帯に希望するサービス提供が受けられない可能性があります。
ただし非常勤職員を多く確保することで、柔軟なサービス提供を行っている事業者もあります。
職員には常勤と非常勤があるため、一概に人数だけでサービスの内容を把握できないケースもあります。
ただし人的リソースの充実度は、サービス事業者を選ぶ際の重要なポイントとなります。
急用等の発生で、訪問日の変更やキャンセルを依頼せざるを得ないケースはどうしても発生します。
その際に日程の再設定が柔軟にできるか、また追加費用が必要となるか等についても、事前に確認の必要があります。
団塊の世代の後期高齢者入りが目前になっている現在、訪問介護市場の更なる拡大が予想されています。
よって今後も新規参入や事業拡大を意図する企業は増加すると考えられます。
ただし訪問介護業界は中小事業者が多い状態にあり、今後大手中心の業界構造となる可能性も指摘されています。
中小事業者が多数存在する訪問介護業界の新規参入や事業拡大には、M&Aが有力な手段となりえます。
ただし賃貸収入などの安定収入源が存在する施設介護事業者と異なり、訪問介護事業者の収入源はサービス提供に対する収入に限られるため、経営的に厳しい事業者も存在します。よってM&A検討の際は、より業界を熟知したパートナー選びも重要です。
CBパートナーズは、介護業界そして訪問介護事業者のM&Aをこれまで多く手掛けており、業界への深い知見とM&Aノウハウを有しています。
訪問介護事業者のM&Aを検討の際は、まずはお気軽にお問合せくださいませ。