帝国データバンクが、介護事業者の倒産動向調査において、2018年の倒産件数が83件と、2016年(91件)、2017年(88件)に次ぐ過去3番目の水準だったことを公表しています。
また、業態別では、「訪問介護」を主業とする事業者の倒産が40%以上と最も多く、続いて「デイサービス」が約38%、「老人ホーム」が約13%という結果が出ています。
我々、医療・介護・福祉事業部にお問合せいただくご相談の内訳とおおよそ一致しており、介護事業者を取り巻く環境に、一定の傾向および共通点があることを物語った結果と言えます。
さらに、同調査において、「業績不振」件数が約64%と倒産要因の中で一番多かったことが報告されています。
また、倒産した事業者は小規模事業者が大半を占めています。
この結果は、知名度や資力、実績に劣後しやすい小規模事業者が、競争激化の中で事業を軌道に乗せることが難しくなっている市況を反映しています。
これらの現状を踏まえ、事業者の皆様にお伝えしたいメッセージがあります。
1つ目は、前述した進行スピードが、この1・2年で驚くほど速くなっているということ。
そして2つ目が、驚くほど同じ理由で業績不振や先行き不安に陥っているという事です。
上記の理由というのが、ずばり「従業員における誤算」です。
実際に私が担当させて頂いたケースなのですが、
「訪問介護」や「訪問看護」、「デイサービス」において、
管理者が近い将来、独立により離職する可能性があるというものでした。
よくよく背景を確認していくと、
「管理者がそうした意向をもっていることを把握していたが、なにも対策をしていなかった」
というケースが非常に多いです。
中には、青天の霹靂で、急な人員補充に対応しきれず運営危機に陥ってしまうというケースもあります。
しかし、厳しい目で見れば、これらは一定の範囲で対処できた事象です。
まずは、日々従業員のかたがたと充分なコミュニケーションを取り、将来について話し合えているか(ビジョンが一致している)ということ。
そして、近年の人材確保の難しさを踏まえ、体制を見通す備えをしているかということ。
経営において、従業員の影響力はこれまで以上に大きくなっています。もちろん、注意を払っていても、カバーできないこともあるかもしれません。
しかし、すべてが手遅れ状態になる前に、M&Aを事業計画の選択肢に入れておくことで、対処できる可能性が高まります。M&Aは、一朝一夕では成立しません。
実現するには、さまざまな条件が伴います。
経営手法の1つとして、まずはM&Aに関する情報収集から始められることをおすすめいたします。