日本の介護現場は深刻な人材不足に直面しています。これは、高齢化社会の進展による需要の増加と、若い労働者の介護業界への参入が進まないことが原因です。
このような状況下で、外国人介護士の受け入れが、人材不足を補う即戦力として期待されています。
本コラムでは外国人介護士を介護施設で受け入れるメリットや課題、受け入れ条件などについて解説していきます。
日本全国で働く外国人人材数は約204万人(令和5年10月時点)、外国人人材を雇用する事業所数は約31万所あります。前年と比較すると、約20万人、事業所数では約1万9千所増加し、さまざまな分野で活躍の幅が広がっています。
令和4年時点で介護分野で働く外国人人材は約5.5万人となっており、在留資格別では以下の実績となっています。在留資格については後程解説いたします。
在留資格 | 受入実績 |
EPA介護福祉士・候補者 | 在留者数:3,186人(うち資格取得者587人) ※2024年3月1日時点(国際厚生事業団調べ) |
在留資格「介護」 | 在留者数:9,328人 ※2023年12月末時点(入管庁) |
技能実習 | 在留者数:14,751人 ※2023年6月末時点(入管庁) |
特定技能 | 在留者数:28,400人 ※2023年12月末時点(速報値)(入管庁) |
出展:厚生労働省|介護分野における外国人の受入実績等
また全国老施協によって発表された、令和4年度の外国人介護人材に関する実態調査結果は、以下のような結果が明らかになりました。
受け入れている施設: 約42%の施設が外国人介護人材を受け入れていると回答
受け入れていない施設: 約49%が受け入れていないとし、9%が今後の受け入れを検討中
また外国人介護士の受け入れに関し、「増やしたい」または「現状を維持したい」と回答した施設は 80~90%に達し、将来的な介護人材不足に対する不安感が強く表れています。
出展:全国老施協|令和4年度外国人介護人材に関する実態調査結果
まず一番のメリットは、人手不足の解消につながるという点です。ご存じの通り介護業界では急速な高齢化と労働力人口の減少に直面しており、多くの介護事業所が人手不足に陥っています。
そこで外国人介護士の採用が、この問題を緩和する手段として注目されています。外国人労働者は多くの場合若年層であり、体力が必要な介護業界での活躍が期待されます。特に夜勤や休日勤務などのシフトに柔軟に対応できる場合もあるため、施設運営が安定しやすくなります。
さらに、外国人スタッフは利用者に新しい視点やサービスを提供する機会を生み出すことがあります。例えば、多国籍な料理や文化交流イベントを通じて、施設全体の雰囲気が和やかになることもあります。加えて、外国人材が職場に加わることで、他国の文化や価値観を学ぶ機会が増え、職場内のダイバーシティが向上します。これにより、新しいアイデアや業務改善が期待できるでしょう。
一方で、課題も存在します。言語能力が不十分な場合、利用者や他の職員とのコミュニケーションが難しくなります。特に、高齢者特有の表現や方言を理解することは大きな課題です。このため、日本語教育や文化理解のためのサポートは不可欠です。
また、異なる文化背景からくる価値観や生活習慣の違いは、職場内でのコミュニケーションにも影響を与えます。お互いの信頼関係を築くためには、双方で異文化理解を深める姿勢が必要です。
外国人スタッフがスムーズに業務に馴染むためには、教育担当者の配置や業務マニュアルの多言語化、生活面での支援(住居手配など)が必要で、受け入れ環境を整えることは重要です。また、在留資格などに関する手続きや管理も課題となるため、適切な情報提供やサポート体制が必要です。
まとめると、外国人介護士を介護施設で受け入れることは、人手不足解消や多様性向上など多くのメリットがありますが、一方で言語・文化的な課題や受け入れ体制の整備が不可欠となります。
介護現場における外国人介護士の役割はさまざまです。主に、外国人介護士は入居者の日常生活の支援を行います。具体的には食事、入浴、排泄の介助などを担当しています。外国人介護士の中には、他の外国人職員に対して指導・助言を行う中間管理者としての役割を担う者もいます。これにより、チーム全体のスキル向上や業務の円滑な運営が促進されます。特定技能制度や技能実習制度を通じて、日本での経験を積んだ外国人がリーダーシップを発揮することも期待されています。すでに外国人介護士は日本の介護現場において重要な役割を果たしており、その存在は今後ますます不可欠となるのではないでしょうか。
人材不足に対応するため、外国人介護士の受け入れルールの緩和がされてきています。
2024年度の介護報酬改定では、EPAや技能実習制度で来日した外国人労働者を、就労開始直後から人員配置基準を構成する職員としてカウントできるようになりました。その際「一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること」「安全対策担当者の配置、指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制を整備していること」という要件も設けられています。これまでは、就労開始から6か月経過後でないと算入できませんでしたが、この制約が撤廃されました。
技能実習制度において、開設から3年以上経っていない施設・事業所での外国人受け入れ制限が緩和されました。運営法人の設立から3年以上経過している場合や、十分なサポート体制が整備されている場合、新規開設の施設でも外国人介護士の受け入れが可能になりました。
訪問介護は介護職が1対1で介護サービスの提供を行うことから、従事できる外国人介護士は、介護福祉士の資格を有する在留資格「介護」や、EPA介護福祉候補者のみが認められており、技能実習や特定技能は認められていませんでした。
しかし2025年4月から、技能実習生及び特定技能外国人について、訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、介護予防訪問入浴介護、定期巡回・随時対応サービス、総合事業の訪問型サービスで、働けるようになりました。
その際、以下の事項を遵守することが示されています。※ 施行日については、技能実習は令和7年4月1日、特定技能は令和7年4月中(予定)
また外国人介護人材が従事する際、利用者・家族に対して事前に説明を行い書面を交付して、署名を得なければなりません。書面には、外国人の実務経験やICT機器を使用しながらサービス提供を行う可能性、事業所の連絡先を記載することが求められています。(※今後変わる可能性あり)
参考:厚生労働省|外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について(報告)
まず外国人スタッフが日本の介護現場で働くには「在留資格」が必要となります。在留資格には以下の4つの区分が設けられ、ぞれぞれの資格でできる業務内容が異なります。
4つの資格について詳しく解説していきます。
EPA介護福祉士候補者制度は、経済連携協定に基づき、労働力としての外国人受け入れを推進する制度です。この制度により、介護現場での実地研修を通じて、外国人人材が日本の介護福祉士資格を取得することを目指します。そのため受け入れ施設は候補者の学習支援体制を整える必要があります。現在インドネシア、フィリピン、ベトナムからの受け入れが可能で、4年以内に介護福祉士試験に合格する必要があります。合格後は永続的に就労が可能となります。
学歴・資格や日本語能力の要件は3か国で異なり、以下の通りです。
インドネシア | フィリピン | ベトナム |
日本語能力試験(JLPT)N5程度以上 | 日本語能力試験(JLPT)N5程度以上 | 日本語能力試験(JLPT)N3以上 |
看護学校の修了証書III以上取得者、大学の看護学部卒業者、または他の高等教育機関から修了証書III以上の学位を取得し、政府より介護士として認定された者 | 看護学校卒業者、または高等教育機関から学位を取得し、政府により介護士として認定された者 | 3年制もしくは4年制の看護課程の修了者 |
日本語能力試験(JLPT)には、N1からN5までの5つのレベルがあり、それぞれのレベルに対する認定の目安があります。
N1 | 幅広い場面で使用される日本語に対して高い理解力があり、ビジネスシーンや社会生活全般で問題なくコミュニケーションができる。 |
N2 | 日常的な場面に加え、より幅広い場面で使用される日本語をある程度理解できる。日本人と同等レベルで会話が可能。 |
N3 | 日常的な場面で使用される日本語をある程度理解する能力がある。基本的な現場の仕事でもコミュニケーションに困ることが減る。 |
N4 | 基本的な日本語を正しく理解でき、ややゆっくり話される会話なら内容がほぼ理解できる。 |
N5 | 基本的な日本語に対するある程度の理解力があり、簡単な会話や文章を理解できる。 |
○受入れ可能な施設
○業務内容
EPA介護福祉士候補者は、日本での滞在期間が原則4年間と定められており、その間に介護福祉士国家試験に合格することが求められます。ただし、4年目で不合格の場合でも、1年間の滞在延長が認められています。
EPA介護福祉士候補者の受け入れには公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)によるマッチングが必要です。
★JICWELSとは、EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受け入れを担当する公益社団法人国際厚生事業団のことです。
インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国からの候補者を対象とし、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、様々な介護施設への受け入れを行っています。JICWELSの主な役割は、候補者と受け入れ施設のマッチングです。専用のウェブサイトを通じて候補者の情報を提供し、施設からの求人票や説明書を受け付けます。
受け入れ可能な施設には、以下の条件があります。
・法令に基づく職員配置基準を満たす定員30人以上
・常勤介護職員の4割以上が介護福祉士資格を有していること
・候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払えること
・適切な研修体制が確保できること
・候補者の宿泊施設が用意できること
・候補者の帰国費用の確保
・帰国担保措置を講じることができる
また、JICWELSは受け入れ後のサポートも行っており、巡回訪問事業を通じて施設の受け入れ状況を確認し、就労・研修に関する相談や助言を提供しています。毎年、次年度の受け入れ機関を募集しており、2025年度の募集は2024年3月から4月にかけて行われました。
さらに、JICWELSは受け入れに関する説明会を開催し、オンラインで動画を公開するなど、情報提供にも力を入れています。JICWELSはEPA介護福祉士候補者の受け入れから、施設とのマッチング、その後のサポートまで一貫して担当する重要な役割を果たしています。
出展:公益社団 国際厚生事業団「2023年度受入れ版 EPAに基づく介護福祉士候補者受入れの手引き」
在留資格「介護」は、外国人が日本の介護施設で介護職として働くための就労系在留資格です。2017年9月1日に正式に就労ビザとして認められた比較的新しい在留資格で、介護業界の深刻な人材不足に対応するために設けられました。介護福祉士の国家資格保有者を対象としています。在留期間の更新に制限がなく、家族の帯同も可能です。即戦力として期待でき、専門性が高いため将来のリーダー候補としても期待されます。
○受入れ可能な施設
○業務内容
まず、申請者は介護福祉士の国家資格を有している必要があります。この資格は、介護福祉士養成施設を卒業するか、または特定技能や技能実習生として3年以上の実務経験を積んだ後に国家試験に合格することで取得できます。
次に、日本の介護施設と雇用契約を結んでいることが求められます。この契約では、職務内容が「介護」または「介護の指導」であることが明記されている必要があります。さらに、報酬に関する条件があり、日本人が同様の職務に従事する場合と同等以上の報酬を受けることが必要です。これは、外国人労働者の権利を保護し、公平な労働環境を確保するための重要な要件です。在留期間は最長5年ですが、更新が可能であり、在留期間の上限は設けられていません。また、この在留資格では家族の帯同も認められており、配偶者や子供を「家族滞在」の在留資格で呼び寄せることができます。
在留資格「介護」は、高度な介護技術と日本語能力を持つ外国人材を対象としており、介護施設で働ける4つの在留資格の中で最も専門性の高い資格と言えます。この資格を持つ外国人材は、将来的に永住権の申請も可能となり、日本での長期的なキャリア形成が期待できます。
出展:厚生労働省|在留資格「介護」の概要
技能実習制度は、外国人が日本で研修を受け、技術や知識を母国に持ち帰ることを目的としています。この制度は、地域の介護施設に新しい活力をもたらし、地域社会の多文化共生を促進する要素としても注目されています。あくまで母国への技術や知識を持ち帰ることを目的としているため、服薬介助・夜勤には従事できません。監理団体が研修などを実施し、実習生のサポートを行います。
○受入れ可能な施設
○業務内容
介護分野の技能実習の受け入れ条件は、技能実習生と受け入れ事業所の両方に適用されます。
技能実習生の要件として、まず18歳以上であることが求められます。また、技能実習制度の趣旨を理解し、帰国後に修得した技能を活かす予定があることが必要です。日本語能力に関しては、1年目の技能実習1号では日本語能力試験N4相当以上、2年目はN3相当以上が要求されます。
受け入れ事業所の要件としては、介護等の業務を行う事業所であり、開設後3年以上経過していることが条件でしたが、先述の通り条件が緩和されています。また、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員をそれぞれ1名以上選任する必要があります。
特に、技能実習指導員については、技能実習生5名につき1名以上を選任し、そのうち1名以上は介護福祉士の資格を有する者またはこれと同等以上の専門知識と技術を持つ者(例:看護師)である必要があります。
出展:公益財団法人|国際人材協力機構「外国人技能実習制度とは」
特定技能は、人材不足解消のための即戦力となる外国人を受け入れる「就労」が目的の制度です。最大5年間の在留期間があり、介護技能評価試験と日本語試験の合格が必要です。労働条件は日本人職員と同等以上に設定する必要があります。2025年度からは訪問系サービスにも従事可能となる予定です。
○受入れ可能な施設
○業務内容
人材の要件として、18歳以上であることが求められます。また、介護技能評価試験と日本語試験に合格している必要があります。日本語能力に関しては、日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テストA2相当以上が求められます。ただし、介護福祉士養成施設を修了した方、技能実習2号を修了した方、またはEPA介護福祉士候補者としての在留期間を満了した方は、これらの試験が免除されます。
特定技能1号「介護」受け入れ事業所の要件として、以下の条件を満たす必要があります。
また、受け入れ事業所は以下の義務を負います。
受け入れ人数については、事業所単位で日本人等の常勤職員数を超えない数までとされています。特定技能1号の在留期間は通算で5年までとなっており、1年、6ヶ月または4ヶ月ごとの更新が必要です。これらの条件を満たすことで、介護分野における特定技能1号の外国人材の受け入れが可能となります。
出展:出入国在留管理庁|「特定技能ガイドブック」
外国人介護士を雇う際には、日本語教育、生活支援、キャリア支援、職場環境の整備といった多面的な支援が必要です。これらの取り組みを通じて、外国人介護士が安心して長期的に働ける環境を整えることが重要です。
外国人介護士が日本で円滑に業務を行うためには、日本語能力が不可欠です。介護現場では、利用者や日本人スタッフとのコミュニケーションが重要です。電子カルテなどの記録や報告書もなかには外国の言語に対応しているものもありますが、日本語を理解する必要性は変わりません。
外国人介護士が日本で安心して生活できる環境を整えることが重要です。住居や生活面でのサポートがなければ、仕事に集中することが難しくなります。
外国人介護士は将来に対する不安やキャリアプランの不明確さから離職することがあります。定期的なキャリア支援が求められます。
多様なバックグラウンドを持つ外国人介護士が働くためには、職場環境の整備も不可欠です。文化的理解と受け入れ態勢が求められます。
外国人介護士が日本で働く際、文化的および言語的な障害が大きな課題となります。日本の介護現場では、日本語でのコミュニケーションが不可欠ですが、外国人介護士の日本語能力が不十分な場合、利用者との意思疎通が難しくなります。これにより、利用者のニーズや感情を正確に理解できず、適切なケアを提供できないリスクが生じます。
また、文化的背景の違いから、介護に対する価値観やアプローチにも相違があり、誤解や摩擦を引き起こすことがあります。これらの課題に対処するためには、適切な研修やサポート体制の強化が必要です。具体的には、言語研修を定期的に実施し、外国人人材がスムーズにコミュニケーションを取れるよう支援することが求められます。また、文化的理解を深めるためのワークショップや交流イベントを開催し、職員同士の信頼関係を築くことも重要です。日本人スタッフや利用者との関係構築には時間と努力が必要であり、異文化理解を深めるための教育や研修が求められます。
渡航費や、パスポートなどを含め採用にかかるイニシャルコストとして、一般的には100~150万円くらいだと言われています。日本人スタッフ同様の共通コストに加え、居住の確保、監理団体への依頼費も必要になるため日本人スタッフの雇用よりも割高になります。国や市町村の種補助金や助成金を活用することで、一部の負担を軽減できる可能性もあります。
外国人介護士には、日本人職員と同等以上の給与を支払う必要があります。また、福利厚生についても同様の水準で提供することが求められます。
外国人介護士が日本で介護福祉士資格を取得するためには、日本語能力試験や介護技能評価試験に合格する必要がありますが、その取得は容易ではありません。さらに、日本の法律・制度は複雑で、外国人介護士自身や受け入れ施設双方にとっての負担となっています。
そのため外国人介護士が資格取得を目指すための支援体制を構築し、受け入れ施設が制度を正確に理解できるよう、専門家によるコンサルティングを活用することが考えられます。
介護業界では外国人介護士の離職率が高く、これは深刻な問題になっています。離職の主な理由としては、就労条件への不満(給与や労働時間)、コミュニケーションの問題、人間関係のストレスなどがあります。特に長時間労働や休暇取得の難しさは、多くの外国人介護士にとって大きな負担となり、その結果として早期離職につながることがあります。また、日本で働くことへの期待と現実とのギャップも離職を促進する要因です。定着率を向上させるためには、職場環境や就労条件の改善が不可欠です。
外国人介護士に対する法的問題や人権保護も重要な課題です。労働条件や待遇について不当な差別を受けるケースも報告されており、これは彼らの権利を侵害する行為です。また、在留資格に関する法令遵守も求められますが、不適切な管理や情報不足から法的トラブルに発展する可能性があります。自国で得たスキルを活かしつつも、日本での生活や労働環境において不安を抱えることが多いため、人権保護と適切な労働環境整備が必要です。
外国人介護士を受け入れる施設では、労働環境や待遇改善が重要です。外国人介護士に限られた話ではないですが、適正な給与体系や労働時間の設定、有給休暇取得しやすい環境づくりなどは長く働いてもらうためには欠かせません。また、日本語学習支援やキャリア開発プログラムなども提供することで、職場への満足度を高めることができます。特に文化的背景を理解し、多様性を尊重した職場環境を整えることは、外国人介護士だけでなく全職員にとっても良好な職場づくりにつながります。
最後に、地域社会との共生も大きな課題です。外国人介護士は地域社会との関係構築が求められますが、言語障壁や文化的違いから孤立感を感じることもあるでしょう。このような状況では地域住民との交流機会が限られ、多様性を受け入れる雰囲気も薄れてしまいます。地域社会との連携を強化し、多文化共生を促進するためには、地域イベントへの参加支援や交流プログラムの実施などが有効です。また、日本人スタッフも異文化理解を深めることで、より良い関係性を築くことができるのではないでしょうか。
先述の通り、受け入れ条件の緩和など政府は「特定技能」などの制度を通じて、外国人介護士の受け入れを拡大しています。2040年には介護職員が約57万人不足するとされ、これに対応するため、今後も受け入れ枠の拡大や在留資格の柔軟化が進められると予想されます。
また同時に、労働環境や待遇の改善やキャリア支援、多様な人材確保・育成、IT技術の導入などいった環境整備は不可欠となります。これらを通じて外国人介護士だけではなく、働くすべての職員が魅力的に感じる職場を維持する努力が必要です。
一方で、昨今の円安や日本の給料水準が上がらないことを理由に、外国人介護士にとって日本で働く魅力が減少してきています。そのため国内で外国人材確保の競争が激化することも予想されます。特にアジア諸国では、高度なスキルを持つ労働者を求める動きがあり、日本以外にも魅力的な就労先が増えてきているため、日本は外国人労働者に選ばれる職場づくりを進める必要があります。
日本で外国人を採用する際は、在留資格によって方法が異なります。採用を進めるには外国人技能実習機構、公益社団法人国際厚生事業団といった各種窓口や人材紹介会社に問い合わせるほか、M&Aという手段もあります。
M&Aは、単に企業を合併したり買収したりするだけでなく、その企業が持つ人材、ノウハウ、顧客基盤などを獲得する手段でもあります。M&Aを通じて、すでに外国人介護士の受け入れ体制を構築している企業と連携することで、スムーズな導入が可能になります。また外国人介護士の採用・育成に関するノウハウを持つ企業を買収することで、自社の外国人介護士の受け入れ体制を強化するケースも見られます。
特に、人材確保や新技術導入を目的としたM&Aの需要が高まっていることから、外国人介護士の活用に関するノウハウを持つ企業は、M&Aの対象として注目を集めると予想されます。
M&Aを通じた事業拡大をお考えの方は、ぜひ当社までご相談ください。