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グループホームは儲かるのか?経営のメリット・デメリット

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グループホーム経営は儲かるか?

グループホームとは?

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は、主に認知症を抱える高齢者を対象にした、共同での生活をサポートする介護サービスです。
運用要件は以下の通りです。

・定員制限
グループホームには、収容できる入居者の定員が設けられています。
通常、1ユニットあたりの収容人数が決まっており、その範囲内での運営が求められます。

・入居者の個室確保
入居者は原則として個室を利用できるようになっています。
これは、プライバシーの確保や安心感の向上に寄与します。

・共同スペースの設置
各ユニットごとに共同の食堂スペースが設けられ、入居者が集まって食事をとる場が整備されています。
これは共同生活を促進するためです。

・住宅地に所在
グループホームは、住宅地域に所在していることが求められます。
これは、地域住民との交流やコミュニケーションを促進するためです。

・入居条件
入居資格や条件が設定されており、例えば年齢制限や介護度、医師からの認知症診断などが入居条件に含まれています。

・スタッフ配置
適切な人数の専門のスタッフが配置され、入居者に必要なサポートやケアが提供されるようになっています。

 

グループホームの市場規模

厚生労働省「介護分野の最近の動向について(R5.5.24)」によると、65歳以上の介護保険の被保険者数は、2000年4月末に2,165万人でしたが、2022年3月末には3,589万人と1.7倍に増加。
介護サービスの利用者数は2000年4月に149万人だったものが、2022年3月には516万人と3.5倍に増加しています。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)のサービス種類別介護費用額の推移を見ると、年々増加傾向にあり、今後も増加見込みであることが明確です。

これらの統計から明らかなように、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は高齢者の増加や介護ニーズの拡大に伴い、今後もこの市場の拡大が期待される事業と言えるでしょう。

 

出典:厚生労働省「介護分野の最近の動向について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001099975.pdf

 

グループホーム経営のメリット・デメリット

グループホーム経営のメリット

1.顧客ニーズへの適応性
グループホームは、高齢者や特定のニーズを抱える人々に焦点を当てた介護を提供します。
このため、地域の特性や需要に合わせて柔軟にサービスを提供できる点が大きなメリットです。
特定のニーズに特化した施設は、地域の顧客層に深く浸透しやすくなります。

2.地域との強固な結びつき
グループホームは通常、住宅地域に所在しています。
地域住民との交流がしやすく、地域社会との強固な結びつきを築くことが期待できます。
これにより、地元のコミュニティとのパートナーシップが強化され、施設の認知度や信頼度が向上します。

3.小規模でのケア提供
グループホームは少人数で構成されるため、入居者への個別対応がしやすいです。
これにより、入居者のニーズに合わせたケアが実現し、家庭的な雰囲気が醸成されます。
小規模での運営が、入居者との信頼関係を築く基盤となります。

4.優れたサポート体制
グループホームでは、通常、専門のスタッフが入居者のケアに携わります。
これにより、高度な介護や医療的なサポートが提供され、入居者の健康と幸福の向上が期待できます。

5.継続的な市場需要
高齢者の増加や介護需要の拡大に伴い、グループホームへの需要は今後も拡大すると予測されています。
グループホームは総量規制のある事業であり、行政からの公募に選定されないと許認可取得できないという参入障壁の高さにより経済的な安定感と将来性が、グループホーム経営の魅力となっています。

これらのメリットからもわかるように、グループホーム経営は持続的な需要に支えられ、地域社会への貢献も期待できる事業形態です。

 

グループホーム経営のデメリット

グループホーム経営は多くのメリットがありますが、同時に注意が必要なデメリットも存在します。

1.人材の確保
介護サービスは高度なスキルや人間性が求められます。
グループホームでは入居者との密なコミュニケーションやケアが必要なため、適切な人材確保が難しくなることがあります。
また、計画作成担当者、管理者および代表者の人員配置が必要となり実務経験や研修を修了している職員でなければ配置できないため、人材確保のハードルは高くなります。

2.法令と規制への順守
介護施設は厳格な法令と規制に従う必要があります。
これには建築基準、衛生基準、労働法規、安全基準などが含まれます。
これらを遵守するためには、適切な法務アドバイスや専門家の協力が必要です。
また、法令の変更や新たな規制への対応も重要な課題です。

3.入居者の特性による課題
グループホームでは入居者同士の関係が密接であるため、個々の入居者の特性や相性が事業に影響を及ぼすことがあります。
認知症や精神的な課題を抱える入居者同士のコミュニケーション管理が難しく、これが施設内の雰囲気やサービスの質に影響を与えることがあります。

4.競争と市場の変化
介護産業は競争が激化しており、新たなプレーヤーが市場に進出することが頻繁にあります。
地域の需要やライバル施設の増加により、入居者の確保が難しくなる可能性があります。
市場の変化に対応する柔軟性が求められます。

5.予算と経済的課題
適切な施設の維持・管理には多額の予算が必要です。
建物の維持や改善、スタッフの給与、必要な設備やサービスの提供にコストがかかります。
特にも予期せぬ建物の修繕費用が発生した際は資金繰りにも影響を及ぼします。
これらの経済的な課題に対処するためには、的確な予算編成と効果的な経営計画が求められます。

 

グループホーム経営を成功させるコツ

法律や加算に関する知識のアップデート

1.法令と規制の把握
グループホーム経営者は、建築基準、衛生基準、労働法規、消防法など、介護施設に関わる法令や規制を正確に把握する必要があります。
これらを徹底的に理解することで、施設の適切な運営が保たれます。

2.新たな法令への対応
法令は変化するものであり、経営者は最新の法令に適合するように努めなければなりません。
新たな法令や規制が導入された場合、迅速な対応が求められます。
法的な変更に敏感であることが重要です。

3.加算に関する理解
経営者は介護報酬や介護保険に関する加算制度を理解する必要があります。
これには、特定のサービスや条件に対する追加の報酬や助成金が含まれます。
これらの加算を正確に理解し、活用することで、収益の最大化が期待できます。

4.法的トラブルの回避
法律に則った運営は、法的トラブルを回避する助けになります。
法的な問題が発生した場合、迅速で適切な対応が求められます。
予め法的な知識を充実させ、リスクヘッジを図りましょう。

5.専門家の協力
法的な専門家やアドバイザーとの連携が非常に重要です。
専門家は最新の法的情報を提供し、経営者が法的なトラブルや問題を未然に防ぐ手助けをしてくれます。
適切な法的アドバイスを得ることは、成功に向けた戦略の一環となります。

グループホーム経営者が法律や加算に関する知識を常にアップデートし、これに基づいて的確な経営戦略を構築することで、施設の安定的な運営とサービス品質の向上が実現され、長期的な成功への道が開かれます。

 

しっかりと集客を行う

需要が高まっているとはいえ、しっかりと集客を行うことも重要です。

1.地域社会との連携
地域のコミュニティとの緊密な連携が集客に大きく寄与します。
地元の行事やイベントへの参加、地域住民との交流など、地域に根差したアクティビティを展開することで、信頼感を築きます。

2.情報発信とPR
インターネットを活用したウェブサイトやSNSを利用して、グループホームの特徴や提供サービスを積極的に発信しましょう。
定期的なブログやニュースレターでの情報発信は、施設の魅力をアピールする手段となります。

3.口コミと評判の管理
入居者やその家族の口コミは非常に重要です。
満足度の高いサービスを提供し、積極的に入居者やその家族からのフィードバックを得ましょう。
口コミサイトやオンラインレビューへの対応も大切です。

4.イベントや見学会の開催
グループホームの魅力を体験できるようなイベントや見学会を定期的に開催しましょう。
これにより、興味を持った人々が施設を実際に訪れやすくなります。

5.専門家や地元社会との関係強化
地域の医療機関、介護関連の団体、地域社会のリーダーなどとの関係強化を行いましょう。
これにより、専門家からの紹介や協力が得られ、集客に寄与します。

 

人材育成・教育に力を入れる

グループホームの経営成功において、優れたサービスを提供し続けるためには、スタッフの質の向上が不可欠です。

1.専門的なトレーニングプログラムの実施
スタッフに対して、介護に関する基本的なトレーニングから専門的なスキルを身につける機会を提供しましょう。
定期的なトレーニングプログラムを用意し、最新の介護技術や知識を効果的に伝えます。

 

2.個別のニーズに対応したトレーニング
グループホームでは入居者それぞれが異なるニーズを抱えています。
スタッフには個別のニーズに適したトレーニングを提供し、入居者とのコミュニケーションや適切なサポートを行うスキルを強化します。

3.仕事におけるフィードバックと振り返り
定期的なフィードバックセッションや業務振り返りの機会を設けましょう。
スタッフとのコミュニケーションを大切にし、仕事の良い点や改善の余地を共有することで、モチベーション向上や職場環境の改善に繋がります。

4.チームビルディング
スタッフ同士の協力や連携が不可欠です。
定期的なチームビルディングイベントやワークショップを通じて、協力関係を強化し、仕事における円滑な連携を促進します。

5.キャリアパスの提供
スタッフが自身のスキルを伸ばし、成長できるようなキャリアパスを提供します。
昇進やスキルアップの機会を設けることで、モチベーションの向上やスタッフの長期的な定着を促進します。

6.外部研修や専門家の協力
外部の研修機関や介護に関する専門家を招いて、スタッフにより専門的な知識やスキルを磨く機会を提供します。
外部からの専門的なアドバイスや情報は、施設内でのプロフェッショナリズムの向上に寄与します。

7.労働環境の整備
スタッフが働きやすい環境を整備します。
業務効率向上のための設備やツールの整備、労働時間の適切な調整など、労働環境に焦点を当てることでスタッフのワークライフバランスを向上させます。

 

グループホーム経営に難しさを感じたら、知って欲しいM&A

人材確保、光熱費の高騰、後継者不在など様々な理由から、グループホーム経営の課題を解決する手段として、M&A(合併・買収)という手段があります。
M&Aのメリットは以下の通りです。

・資金調達
グループホームをM&Aで譲渡することで、企業や投資家からの資金調達が可能となります。
これにより、別事業への資金投下など経営の強化に役立つ資金を調達できます。

・経営効率の向上
M&Aにより、効率的な経営体制を構築できます。
不採算の事業を切り離すことでコストの削減や効率の向上が期待できます。

・従業員の雇用確保
M&Aにより、大手企業の傘下に入ることで従業員の雇用を確保することが可能です。
大手企業の持つ専門的なノウハウや技術を取り入れることによりサービスの質や多様性が向上し、顧客に対してより高度なサポートを提供できるようになります。
また、従業員は譲受企業の福利厚生サービスを享受できるなど従業員にとってもメリットがあります。

・第2の人生をスタートするための資金を得られる
人材確保の難しい介護業界では経営者が現場に入り、不足している人材の穴を埋めるために休みなく勤務されている事業者も多いです。
譲渡対価を元手に新たな事業を立ち上げたり、家族と過ごす時間に充てられたりなど第2の人生をスタートするための資金を得ることができます。

グループホームM&Aの相場

1.人材資産の評価
グループホームのM&Aにおいては、人材資産が非常に重要です。
優れた介護スタッフや経営者の存在は、評価額に大きな影響を与える要素となります。
特にも人材の定着が図られているグループホームは人材確保が難しい業界だからこそ、譲受側企業からの評価も高いです。

2.地域特性の考慮
グループホームの地域特性は、市場価値に影響を与えます。
需要が高い地域や将来の需要が見込まれるエリアは、評価が高くなる傾向があります。

3.施設の設備と品質
M&Aの相場においては、施設の設備やサービスの品質が評価されます。
最新の設備や高品質な介護サービスが提供されている場合、相場はそれに応じて高くなることがあります。

4.法令順守とリスク管理
法令順守やリスク管理の徹底は、評価において不可欠です。
適切な法的手続きやリスクヘッジが行われている場合、相場が安定しやすくなります。

5.事業の安定性と将来性
M&A市場では、事業の安定性と将来性が非常に重視されます。
持続可能な経営計画や成長戦略がある場合、相場はこれに見合った評価がなされるでしょう。

 

成功に向けたポイント

  1. 専門的なアドバイザーの活用
    M&Aプロセスは複雑であり、専門的な知識が求められます。
    専門のアドバイザーを活用することで、交渉の際の有利な条件を確保しやすくなります。
  2. 事前の評価と整備
    グループホームをM&Aする前に、事前の評価と整備を行うことが成功の鍵です。
    施設の価値を正確に把握し、問題点を事前に解決しておくことが大切です。
  3. 長期的なビジョンの提示
    M&Aの相場を上げるためには、長期的なビジョンや成長計画を明確に提示することが必要です。
    投資家や買収者は将来の事業展望に興味を持つことが多いため、具体的な展望を示すことがポイントです。

 

グループホームのM&A市場は多様であり、相場は様々な要因によって左右されます。
成功に向けては慎重な調査と計画、専門的なサポートが欠かせません。

まとめ

介護業界の動向からも、今後グループホームのM&A需要は高まると予測できます。

CBパートナーズは、介護業界に特化したM&A支援会社です。
グループホームの譲受や譲渡をお考えの場合は、お気軽にご相談ください。