高齢社会が予測される日本において、今後ますます介護事業の需要が増していく見込みとなっています。
その一方で、介護の現場を担う現役世代の減少は著しい状況となっています。
今回は、中小規模の介護サービス事業所に求められている業務の効率化、今後の介護報酬改定の見込みなどについてご紹介いたします。
介護施設経営者の方とお話をしていると「従業員の高齢化が進んでおり、なかなか世代交代ができない」とよくお聞きします。
人的資源が減っていくなかで、この問題を解決するには、
いかに『効率よく』『少ない人員配置』で運営を行うことを実現できるかどうかにかかっています。
そのためには、ICT等の実用化を促進することや、文書量の削減を行って業務を効率化、または管理業務の共通化をすることで、介護の質の向上を図りつつ、介護現場の業務負担や人員配置の効率化を進めていくことが求められてきます。
実際に、令和3年度の報酬改定では「ICT機器使用することで介護老人福祉施設の夜間職員配置加算を取得する際の要件を緩和する」という内容の改定も行われました。
今後も介護現場の業務負担の軽減や人員配置の効率化をする施策は進み、ICTを導入する際の補助金も促進される見込みとなっています。
業務の効率化が求められる一方で、介護サービスの経営主体は小規模事業者が多く、効率化がなかなか進んでいないという現状もございます。
介護サービスの3割強が1法人で1施設もしくは1事業所という状況となっています。
(参照:令和2年度介護労働実態調査より)
介護保険制度ができた当初は、「利用者がどの介護サービスを受けるか選択をすることで事業所間に競争が生まれ、結果として良いサービスの提供や業務の効率化が促進されるであろう」という狙いがあったものの、「競争がサービスの質を向上させ、効率的な業務が行われるようになる」とは言い切れない状況となっています。
もちろん、全ての小規模事業者様がサービスの向上や業務の効率化ができていないというわけではありませんが、限られた人員では限界があります。
一方で、大規模法人は、バックオフィスで請求業務や労務管理などを一括で行うことが多く、介護現場の負担も軽減され、効率的に業務を推進しやすい状況を作ることが可能になります。
規模別でみても、大規模な法人・事業所のほうが平均収支率も高く、スケールメリットがあるという事実もございます。
今後、規模の利益を生かして効率的な運営を行っている事業所を基準に介護報酬を定めていくことで、介護給付費の増大を防いでいく流れになることが予測されます。
■今後の介護報酬のあり方(イメージ)
「大規模化や協働化をして介護事業の効率化を目指そう」となっている以上、やはり小規模事業者様に厳しい報酬設定がされる可能性が非常に高くなっております。
報酬改定の流れを受け、今後の選択肢の一つとしてM&Aでの拡大や承継をお考えになられる事業者様も増加することが見込まれます。
拡大や承継に関する初期的なご相談も承っております。お悩み事がございましたら、お気軽にお問合せ下さい。