迫る報酬改定ですが、障害福祉サービス等の報酬改定案の具体的な内容がリリースされました。
全体感としては、事業所単位から児童単位の加算が新設されて、
メリハリがついたような内容になりました。
今回は、障害福祉サービスのうち、障害児通所支援について経営に関する影響やM&Aの注意点を記載します。
放課後等デイサービス(以下、放デイ)は、区分がなくなり、基本報酬が下げられました。
逆に児童発達支援(以下、児発)は、基本報酬が上がりました。
また、両サービスとも基本報酬の人員基準に関して、障害福祉サービス経験者
が除外されることになりました。(経過措置あり)
そこからさらに、加配加算Ⅱがなくなり、専門的支援加算と個別サポート加算が新設されました。
専門的支援加算と個別サポート加算の細かい要件は、より詳しい内容のリリースを待つしかありません。
全体的には、減収減益となる事業所が多くなるであろう内容です。
一方、これまでも有資格者による専門的なサポートを支援メニュー
に組み込んできた事業所は、プラスになる可能性があります。
これまでも、人員配置が重要な報酬体系ではありましたが、
今後はそこに、「サービスの質」という要素が加わります。
有資格者を雇用するだけでは、加算取得ができない以上有資格者確保による採用コストや労務費と、専門的支援加算等のうまみを比較することになり当該加算を取得せず、有資格者を抱えないという選択をする事業者が増えていくように思います。
つまり、事業所によって、サービスの質や内容が大きく異なりある程度画一的だった事業者が、事業所ごとに特徴を持ち大きく差が出てくると想定されます。
上記は、3年後の診療報酬・介護報酬同時改定の際にも大きなポイントとなると予想されるため、先を見据えた経営判断が必要な段階です。
また、サービスの質を定常的にするためには、有資格者の考えると、1事業所だけでは、抱えられる人材も限られていることを考えると、ある程度の規模拡大の必要性を感じます。
地域によっては、総量規制がかかっており、新規取得も他業種に比べ難易度が高い地域もあるため、
既存の放デイや自発を譲り受ける形が増えてきています。
また、病院やクリニック、薬局、介護施設によるM&Aを使った異業種参入も進んできています。
業種ではなく、地域の中で包括的なケアをという考え方も進んできています。
そういった中では、ノウハウや人材を引き続き雇用できより社会や地域に貢献するための手段としてM&Aの必要性は高くなってきています。
M&Aを行こなう際にご注意いただきたいのは、現行の加算取得状況と、ベースになっている人員配置をしっかりと確認することです。
「常勤換算」ですので、パート1名かけただけで、加算取得ができなくなる可能性もあります。
当然、一定の利益水準がサービスの質につながる点はいうまでもありません。
特にM&Aは、財務状況や簿外債務、法的リスク等、気を配らなければならない項目がいくつもあります。
かつ、検討時間としても相手がある話ですので、満足に時間確保ができないケースもあるかもしれません。