2023/08/30 16:18:00
中央社会保険医療協議会は30日、2024年度の診療報酬改定に向けたこれまでの議論の
中間取りまとめを行った。入院・外来・在宅のほか、働き方改革の推進や感染症などの
テーマごとに課題や論点、これまでの主な意見を整理した「議論の概要」を厚生労働省が
総会に報告した。入院では、高齢者の急変への対応を巡り、急性期病棟と地域包括ケア病
棟の機能分化の推進が焦点になる。【兼松昭夫】
一方、外来では、診療所や中小病院による「かかりつけ医機能」の強化を促す報酬の枠
組みの具体化を進める。
中医協では、入院・外来・在宅などの議論を2日までに一巡させた。9月から年末にか
けてさらに踏み込んで議論し、診療報酬改定案を年明け以降に答申する。
厚労省保険局の眞鍋馨医療課⻑は30日の総会で、24年度の改定の基本方針を議論する
社会保障審議会の医療保険部会と医療部会に、中医協の議論の概要を報告する方針を説明
した。
議論の概要では、入院の論点に、急性期病棟と地域包括ケア病棟の役割・機能分化の促
進を挙げた。誤嚥性肺炎や尿路感染症などで急性期病棟に救急搬送される高齢者が増え、
手厚い治療が必要な患者に対応するのが困難になりかねないため。
一方、地域包括ケア病棟では救急搬送の受け入れが年100件以下の病院が多いことが分
かっていて、厚労省は、高齢者救急の受け入れを一層促したい考え。
ただ、高齢者の救急では重篤度を判断するのが困難なケースもあるといい、中医協に
は、高齢者というだけで、地域包括ケア病棟で受け入れることにする対応への慎重論もあ
る。
入院のうち、回復期医療ではほかに、回復期リハビリテーション病棟での質の高いリハ
ビリテーションを推進するための評価を議論する。
また、慢性期医療では、看護配置が医療法上の基準を満たせない病棟向けに設定されて
いる療養病棟入院基本料の経過措置が24年3月末で終了する。それをにらみ、厚労省は、
⻑期療養が必要な患者の受け入れに対する評価を論点に挙げた。
厚労省によると、療養病棟入院基本料の経過措置の届け出数は18年7月時点で293病
院、22年7月時点では57病院だった。同省では、届け出医療機関数と病床数が「ともに減
少している」としている。
療養病床の人員配置基準の適用を猶予する医療法施行規則の経過措置は24年3月末で有
効期限が切れる。
(出典:CBnews マネジメント)