自院を第三者にお譲りしたいという相談は年々増えております。
最近では、理事長や院長が自ら問い合わせをされるだけではなく、家族からご相談頂くケースも増えて参りました。そういった背景から、今回はCBパートナーズに寄せられる相談の中でも数が多い、家族経営の診療所様に向けて、その家族が準備しておいたほうが良い事項について解説いたします。
院長の急逝や体調不良を理由としてご相談いただくケースはこれまでもございました。一方で院長が現役であっても、「年齢や後継者不在をはじめとする漠然とした将来不安」や、「ゆっくりセカンドライフを過ごしてほしい」といった家族の希望から、承継について教えて欲しいといった相談をいただくケースが増えております。
開業医に定年は無く、気力・体力が続く限りは現役というのがこれまでの通説であったと良く伝え聞きます。しかしながらその通説が作られた要因の一つとして、世襲制、すなわち親子間承継が前提にあったのではないかと私は考えております。多様性の進む現代において、院長のご子息ご息女が診療所を継がないケースや、医師ではないケースも珍しくありません。
またスマートフォンだけで、本当にたくさんの情報に触れることができる時代です。たくさんの情報に触れることができるゆえに、家族にとって混乱や不安が生じている可能性も考えられます。いずれにしても、院長が現役にも関わらず、その家族からの相談が増えている背景の一つとして、院長が望む未来と、家族が望む未来に違いが生じるケースが増えているのではと推察しております。
今後考えられる選択肢を客観的に一度整理してみることをお勧めいたします。家族会議を進める上でも、院長だけでなく、そのご家族皆様が知見を持つことは、不安の解消や後悔の無い判断をしていく一助になると思います。
①今後も診療所を継続する(したい)
②将来的に閉院する
まずは大きく上記の選択肢が考えられます。今回は①に焦点を絞ってご紹介していきます。
①今後も診療所を継続する(したい)となった場合に、考えられる選択肢は以下の2つです。
ここでのポイントは、いずれの承継にしても、
といった「整理」を進めることが宜しいかと思います。
その整理を踏まえた上で、以下2点を充分に理解して頂くことが重要です。
1.について、具体的にどのくらいの期間を要するかを明言することはできません。私のご支援した事例では、受託してから半年で成約になったケースもありますが、理事長が譲渡に動かれてから7年で成約になったケースもあります。お相手が見つかるかどうかは、その時の「縁」によるところもあり、いずれにせよ時間がかかるのが一般的であることを踏まえ、早めの動き出しをお勧めいたします。
2.について、もしかすると多くの方が承知の上でご不安に感じられている点かもしれません。
もちろん家族の計画通りに話が進むのが理想ではありますが、必ずしもそうではない場合も起こり得ることを想定し、承継を考える上では事前に確認しておいた方が良いと思われるポイントをご紹介します。
以上となります。
また、承継に関連してですが、出資持分のある医療法人で、後継者は決まっているものの、堅調な経営と共に法人の純資産額が膨れ、相続や出資持分の払い戻しが不安という方もいらっしゃるかもしれません。その場合には、認定医療法人へ移行するという選択肢も考えられます。2023年度税制改正大綱にて、認定医療法人の税制上の特例期限が2026年12月末まで延長されております。ここでの解説は割愛させて頂きますので、厚生労働省のホームページなどをご参考下さい。
診療所の承継に際して家族が準備しておくこと、としてご紹介させて頂きました。
今回のご紹介はあくまで大枠であり、個々の事例で考えると、より各論での準備が必要になると思われます。
本コラムでは、
この3点をお伝えしたく、寄稿させていただきました。
実際の事例も含め、より詳細な情報提供が欲しいという場合には、CBパートナーズまでお問い合わせ下さい。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。