M&A(合併・買収)において、売手や買手の情報を外部に漏らさないことは、言うまでもなく最も重要です。特に、医療事業における承継は長期にわたることが多く、案件に携わる人の数も多いです。当社では、現在まで多くのクリニックや病院の承継をお手伝いしてきました。多くの方と関わった中で分かったことは、情報保護に関する認識が低い方も少なくないということです。このコラムでは、実際に起こった事例とその対策について紹介します。
何となく承継について考え始めていた68歳クリニック院長のA医師。
ゴルフ好きの医師が集まった時に何気なく、
「そろそろクリニックを譲りたいんだが、若い医師を紹介できないかな?」
と、話しました。
医師達は、良かれと思って周りの複数の関係者に
「A医師のクリニックはもうすぐ閉業するらしいが、誰か医師はいないか?」
と周りに流布。
結果、クリニックが閉業することが患者や従業員にまで伝わってしまい、多くの人から
「A医師のクリニックは閉業するのか?」
と問合せが相次ぎ、大きな混乱を招きました。
地方でクリニックを経営する65歳のB医師。
後継者がおらず、慎重に事業承継を検討していました。
普段からクリニックに出入りしており、長年の付き合いのある製薬会社の担当者Cに承継について相談。
担当者Cは医業承継についての知識があったわけではなかったので、雑談程度にその話を受けとめました。
後日、担当者Cは同業の友人とお酒を飲みに行く機会がありました。
話も盛り上がり、少し酔ってしまった担当者CはB医師の承継の件を友人に話してしまいます。
情報の重要性を認識していない友人はその内容を周辺のクリニックの医師にも話してしまい、噂は瞬く間に広がり、医師の間でB医師のクリニックは閉業を考えているという噂が広まりました。
上の2つの事例のような場合を避けるためにも、情報を守ることは重要です。
下記の点に気をつけましょう。
→親身になって相談にのってもらう方の人数は限定しましょう。
また、外部に漏らさないことを徹底し、漏らした場合どのようなリスクがあるかをきちんと説明しましょう。
→M&Aの情報保護について、リスクを認識している専門家に依頼しましょう。
→専門家であっても、秘密保持誓約書等をきちんと準備しているか確認しましょう。
当社では医業承継において経験豊富なスタッフが揃っております。
情報保護については定期的に勉強会を実施しており徹底管理を行っておりますので、安心して問合せください。